植物の生育において、必要不可欠なのが土。
いくら水と肥料やりを頑張っても、そもそもの土が悪ければ育つものも育ちませんし、逆に土さえしっかりしていれば、放っておいても育つ場合も。
このように、土は生育の良し悪しを分けるといっても過言ではありませんが、初心者の場合は「何を選べば良いのか分からない」「庭の土ではダメなのか」と、迷ってしまうのではないでしょうか。
本記事では、これからガーデニングを始める方や、既にやっている方であれば知っておきたい、土のイロハについてご紹介します。
目次
土とは?そもそもの役割・良い土の4つの条件
土は、植物にとっては必要不可欠なものです。
土は植物が根を張る場所であり、植物の体を倒れないように支え、生育に必要な水分や肥料分を植物体に送り込む役割を果たしています。
また、このような役割を果たすためには次の4つの機能が重要であり、良い土の条件とされています。
・保水性
・保肥性
・通気性
・排水性
順にみていきます。
保水性
水を保つ機能のこと。せっかく水やりをしても、すぐに全て流れ出てしまうようであれば根から水分を吸収できず、慢性的な水分不足となり枯れてしまいます。
保肥性
肥料を保つ機能のこと。肥料は、人間でいう食べ物と同様。水やり同様に肥料分も流れ出てしまうようであれば、栄養分を吸収できず生育不良に陥ってしまいます。
通気性
空気を通す機能のこと。植物が生育していくためには、水分・養分だけでなく、根にも空気が必要です。植物の根も呼吸しているため、空気が全く通らないと酸素不足となってしまい、根腐れを引き起こしてしまいます。
排水性
水を排出する機能のこと。水がいつまでも停滞するような土では、上記同様に根腐れの原因となってしまいかねません。
このような4機能を合わせ持った土が良い土となります。
中でも、小さい粒がくっつきあい、大きな粒を形成しているような構造の土は「団粒構造(だんりゅうこうぞう)」と呼ばれ、保水性・保肥性・通気性・排水性に優れ、植物の生育において理想的な土であるとされています。
土と用土の違い
土と一口にいっても、さまざまな用語があります。
ホームセンター等で表記されている「用土」というのは、土の中でも、ガーデニングや家庭菜園、観葉植物など、ある特定の用途に限って使用される土のことを指します。
さらにこの「用土」は、「基本用土」と、前述の4機能を強化する目的で追加配合される「補助用土(改良用土)」の2種類に分けることができます。それぞれ次項で詳しく解説していきます。
基本用土とは?
用土の基盤となる土のこと。ここでは代表的な7種類についてご紹介します。
赤玉土(あかだまつち)
関東ローム層の中層にある、赤土を乾燥させた土。ベージュ色の粒状をしていることが一般的で、通気性・排水性・保水性・保肥性を備えている万能な土です。
なお、粒の大きさによって「極小粒」「小粒」「中粒」「大粒」に分かれています。育てる植物の大きさや、使用目的によって使い分けます。
黒土(くろつち)
赤玉土同様、関東ローム層の表層から採取される火山灰土です。腐敗した植物が堆積した「腐植」を含むため、黒い色をしています。保水性と保肥性に優れていますが、肥料分が少ないため、他の用土と合わせて使うことが一般的です。
鹿沼土(かぬまつち)
赤玉土・黒土同様、関東ローム層から採取される火山灰土です。主に栃木県鹿沼市付近で採取され、黄色みを帯びた軽石のような形状が特徴。酸性を示すため、酸性を好むサツキの盆栽等で用いられてきました。
日向土(ひゅうがつち)
宮崎県で採取される軽石です。桜島や霧島山などの火山帯で採取され、その形状から非常に水はけが良いことが特徴。ただし保水性・保肥性は悪いため、農作物の育成には不向きとされ「ボラ土(=役に立たない土)」とも呼ばれてきました。
軽石(かるいし)
火山噴出物が急激に冷え固まることにより、多孔質状になったものです。非常に軽く、水に入れると浮かぶため「浮石」とも呼ばれています。通気性が良いため、鉢底石の他、水はけが良い土を好むサボテン等にも用いられます。
水苔(みずごけ)
湿地等に自生する水苔を採取し、乾燥・圧縮させたもの。保水性と通気性に優れており、主に胡蝶蘭やシダ植物、観葉植物などの植え込みに用いられます。
天然砂(てんねんさ)
山野草や多肉植物など、水はけが良い土を好む植物の植え込みに用いられます。火山から噴き出した岩石が風化した「山砂」(桐生沙や富士砂など)と、河川等に堆積した「川砂」があります。
改良用土(補助用土)とは?
基本用土に対し、前述の4機能( 通気性・保水性・排水性・保肥性)を強化する目的で配合されるのが改良用土(補助用土)です。
有機質と無機質(人工物)があり、ここでは代表的な5種類についてご紹介します。
腐葉土
広葉樹などの枯れ葉・落ち葉が、微生物によって発酵・分解されたもの。通気性・通気性・保肥性に優れ、有機質を豊富に含むため、土壌改良材として広く用いられています。
ピートモス
寒冷地において、水苔などの植物が腐食されずに堆積してできた泥炭(ピート)を、乾燥させて細かくしたもの。保水性・通気性に優れていますが肥料分がなく、また賛成を示すため、一般的には種まき用土または土壌改良用として用いられます。
堆肥
動植物由来の有機物が、微生物によって発酵・分解されたもの。植物を植え付ける前に土に混ぜ込むことにより、フカフカの良質な土壌に。牛糞・鶏糞などの動物由来のものと、ワラやバークなど植物由来の者があります。
パーライト
ガラス質の火山岩を高温加熱し、急激に蒸発させたもの。多孔質の構造になっています。大きく分けて黒曜石と真珠岩の2種類があり、前者は水はけの悪い土壌に、後者は水もちの悪い土壌に用いられます。
バーミキュライト
「ケイ酸塩鉱物」の原石を急に高温で加熱することで、石がアコーディオン状に膨張したもの。容積が10倍近くまで膨れ上がるため非常に軽く、無菌のため種まき用土として一般的です。
またその膨れ上がる様子が蛭(ヒル)に似ていることから、苦土蛭石とも呼ばれています。
培養土(ばいようど)とは?
ここまで見てきたように、一口に「土」といっても「基本用土」と「補助用土」の大きく2つに大別することができます。
ホームセンターや園芸店などで市販されている培養土は、この2つをそれぞれの植物ごとに適切なバランスで配合したもの。生育に必要な肥料も予め配合されていることが多く、面倒な配合なしでそのまま植え付けることができます。
培養土と腐葉土の違い
よく混同されてしまいがちなのが、培養土と腐葉土。
前述の通り、腐葉土は「改良用土」の一種であり、「基本用土」と「改良用土」を混ぜた「培養土」とは、カテゴリーも異なります。
実際に園芸店などに行くと、どちらを選べばよいのか分からず混同してしまいがちなので、注意するようにしましょう。
培養土の作り方
市販されている培養土は、前述の通り基本用土と改良用土を混ぜたもの。それぞれの用土を保管しておくスペースさえあれば、手間と知識は必要ですがもちろん自分のオリジナル割合で配合することも可能です。
その場合の基本の割合は、「赤玉土:腐葉土=7:3」が一般的。「黄金比」とも呼ばれ、さまざまな植物の生育に適しています。ただし育てる品種によっては適宜調整が必要となります。
酸性を好む場合やピートモスや鹿沼土を配合したり、水はけのよい土を好む場合は赤玉土を多めに入れたりと、植物に応じて微調整するようにしましょう。
培養土の使い方
培養土の使い方は難しくありません。
市販のものを購入した場合は、買ってきたらすぐに開封し植えこんでOK。自分で作った場合は、土同士を馴染ませ微生物の活動を活発にさせるためにも、配合して1カ月経ってから植え付けるようにしましょう。
培養土の選び方・初心者におすすめの種類
「自分で配合するのは難しそう..」「数種類の用土を買って保管する場所も 時間もない」そのような方は、手っ取り早く市販の培養土で育てることがおすすめ。
良質で清潔な土は病害虫の心配がなく、初めての方でも簡単に失敗少なく育てることが出来ます。
ここではカテゴリーごとに、おすすめの土をご紹介します。
花・野菜などガーデニング全般用の培養土
野菜だけではなく、花にも使える汎用性の高い培養土です。 主にココヤシピートを使っているため、通常の土より軽いのでプランターの移動の負担が減ります。水持ち、通気性も良く扱いやすいです。
観葉植物用の培養土
「安心であること、誰もがわかりやすいこと、そして、植物が最も魅力的に、元気にスクスクと育つこと。」そんな思いで作られたのが、この「evoの土」シリーズです。
オーガニック肥料入りで軽くて清潔、匂いも少ないので室内でも安心して使えます。
果樹・花木用の培養土
樹木が健全に育つ保水力・排水性・通気性を兼ね備えた、樹木専用の培養土です。初期育成に必要な栄養素が配合されているので、誰でも簡単に果樹・花木の植え付けや植え替えが可能です。
野菜・ハーブ用の培養土
同じくevoシリーズの「野菜・ハーブの土」もおすすめ。
土のちからを高め生長を助ける素材入り。有機物がゆっくりと栄養分に変わり植物をつくる基礎的な養分となります。
また有機素材をベースとした培養土なので、初めての人でもおいしい野菜やハーブが手軽に作れます。
培養土とは?土の種類・選び方のまとめ
そもそもの土の基本、土の種類から培養土の定義、選び方についてご紹介してきました。
下記に本記事のまとめを記載しておきます。選び方の参考にしてみてくださいね!
土 | 基本用土 | 赤玉土、黒土、鹿沼土、日向石、軽石、水苔、天然砂など |
改良用土 | 腐葉土、ピートモス、堆肥、パーライト、バーミキュライトなど | |
培養土 | 基本用土と改良用土をバランス良く配合したもの |
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